新潟栃尾又温泉 自在館:自律神経を整えたい、温泉付きで。

時折、身体のバランスが崩れ、耐えきれぬ衝動が湧き上がる。その衝動は、まるで内からの叫びのように強烈で、気づけば心の中で響いている『自律神経を整えたい』という木霊が。


人混み、電磁波、そして職場での気遣いの日々。都会の喧騒に身を置いていると、意識せずともストレスが絶え間なく身体にまとわりつく。はじめは、何となく疲れたような気がする程度。しかし、その疲れを放っておくこともしばし。頭と心が、まるで別々の場所にいるような錯覚に陥る。ふと、深呼吸ができていないことに気づく。不思議なことに疲れた感覚は消失するが、体はどこか浮ついて力が入らず、頭はぼんやりと詰まり始める。何年か前、メンタルを崩した経験がある。その一歩手前に感じたのが、この奇妙な感覚だった。もし、このまま放置してしまえば、またあの地獄のような日々に逆戻りになってしまう。

自律神経、温泉、関東圏で検索を進める。心身の限界が近づいていたので、遠出をすることはできない。すると、現代湯治を謳う、新潟栃尾又温泉の自在館を発見。推薦者の言葉にあった、「エンドレス・ゴロゴロが叶う」に心が奪われた。場所は新潟県魚沼。都心から新幹線でアクセスが良く、最寄りの新幹線駅からは送迎もあるという。Door to Doorで流れるように温泉へと導かれるような至便さにも惹かれた。

こうして急遽、南魚沼への旅支度をと問えた私。末端神経の叫び「整えてほしい」という木霊に応えるため、私は甲信越の山奥へと向かった。

1月中旬。大宮駅から上越新幹線でおよそ1時間、新潟県は浦佐駅に到着。巨大で、がらんとしている。

13:30、駅の待合室に宿の運転手さんに迎えに来ていただく。マイクロバスで30分弱。自在館に到着。

木の温もりが感じ取れる、小ぢんまりとしたセンスの良いロビーでチェックイン。

秘湯を守る会の会員宿の証である2つの提灯が良いアクセントとなっている。

お土産売り場と、アメニティコーナー。

上下セパレートタイプの甚兵衛、温泉宿によくある足袋靴下、歯ブラシ、櫛などが揃う。

アメニティコーナーの外にある、栃尾又温泉の効能の説明書きを読み込むの図。

栃尾又温泉は36度と人肌程度の冷泉に数時間浸かる入浴法が推薦されている。やってみたい。

部屋に案内される前に、貸切風呂の予約方法を教えていただく。希望時間の枠に名前を書き、時間になったら、ロビーまで、このしゃもじ付きの鍵を受け取る。早速、20分後の貸切風呂を予約した。

入室し、荷物を置く。6畳の清潔感あるシンプルな和室に、手作りベッドと、既に暖められた炬燵が迎えてくれた。

茶香炉が焚かれていた。細部にまで心を配ったおもてなしに感動。

ほっと一息つく間もなく、貸切風呂の予約時間がやってきた。

予約したのは、自在館唯一の露天風呂、「うけづの湯」。キーンと冷える外気と、40度手前程度の絶妙なバランスが至福を与えてくれる。予約時間40分しっかりと浸からせてもらう。

入浴後、しゃもじ鍵を戻すついでに、ロビーで温泉水をいただく。

自在館の湯は飲泉が出来る。身体の外からも内からも温泉まみれになれる贅沢。程よく脱水された身体に、喉を通る温泉水が、コロコロと転がるように胃へ落ちていく感覚をじっくり味わう。良い水分が、身体を循環していく。

夕駒。自在館では予約時に食事の種類を選ぶことができる。私は「一汁三菜」というスタンダードなコースを選択。

母の手作りのような、身体に優しい薄味の品々が並ぶ。どれも丁寧に作られていて、とても美味しかった。

就寝前に訪れた「したの湯」は、自在館の中でも特別な場所だった。ロビーから長い階段を下りると、温泉の結露が天井からぽたぽたと落ちる湯の音だけが響く、まるで洞窟の中にいるような静けさに包まれた内風呂があった。

36度の冷泉に浸かりながら、中央に積み重ねられた石の飲泉場で喉を潤しながら、身体の芯から温まる不思議な感覚に包まれていく。

最初の30分は頭の中で仕事や家庭のことがぐるぐると回り、そわそわしていた。しかし、次第にその思考も静まり、いつもは外に向いていた感覚が自分に向いていく実感を得た。ただ自分だけの時間が流れた瞬間、久しぶりに、心も身体も整えられたように感じた。

良い気分で部屋に戻る。せっかく整ったというのに、気づいたら炬燵で就寝。深夜3時に消し忘れたテレビの音で目が覚め、ベッドに潜りました。

朝6:30、前日に予約しておいた貸切風呂「たぬきの湯」に入湯。

広々とした湯を40分も独り占めできるなんて、贅沢以外のなにものでもない。熱めの湯でシャキッと目が覚める。

朝駒。これぞ日本の朝ごはん。米処魚沼、水の美味しさも相まって、白米が旨すぎた。

食後のコーヒーをロビーで頂くの図。囲炉裏の畳でのんびり新聞読んだり、ぼぅっとしたり。

窓際の廻る椅子に座って、窓の外の雪を眺めてぼぅっとしたり。

そうこうしているうちに、無料送迎バスが出発する11:40になる。

温泉宿で、チェックアウト時間がこんなにもゆったりしていることに、心から有難さを感じる。

13:00近くの新幹線にて、再び、神経を引き裂く資本主義の渦、東京へ戻りました。

栃尾又温泉自在館は、まさに現代の逗留地として理想的な場所でした。冷泉に2-3時間浸かることを何度も繰り返すので、良い意味で滞在中に手持ち無沙汰にならない。冷泉というものも初めて経験しましたが、長く浸かると、心身がすーっと静けさに包まれていく不思議で、でも確かな癒しを感じることができました。良いお湯があり、お茶やコーヒーを自由に味わえ、囲炉裏など部屋以外でものんびりできる空間が用意されており、バランスの良い食事が身体を整えてくれます。都会からふらっといける距離感も嬉しかったです。

湯巡り記はここまで。

冷泉の入浴法に則り、1日8時間は湯に浸かりました。

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